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White Houseのトップページ・オバマ大統領の演説が掲載され、閲覧者はコメントを入れることができる。 |
2009年の最初の就任演説、オバマ大統領は「今日問われているのは政府の大きいか小さいかではなく、機能するかどうか」であるとし、「人々と政府の間の信頼関係」を再構築すると宣言した。
そして就任式直後、『透明性とオープンガバメント』を発表し、「透明性(transparency)」「政治参加(participation)」「官民協力(collaboration)」という3本の柱を打ち出した。
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USASpending 政府支出の場所・金額などがわかる |
情報公開だけでなく、直接的に国民の政治参加を促す試みもしている。それが、「We the People」である。こちらは30日以内に5000以上の署名が集ると、ホワイトハウス(大統領府)として対応するというものである。すでに累計で1000万近くの署名を集めている。
もちろん、すべてがうまくいっているわけではない。例えば「We the People」では、「オバマ大統領の出生証明の公開」とか「マリファナの合法化」などというものが人気が出たりしている。情報公開についても、古いシステムにあるデータ、または紙ベースのデータを、マシンリーダブルな形で公開するのは、大変な作業であり、すべてが予定通り言っているわけではない。ブルームバーグが行った調査でも、基準内の情報公開がされていないという報道もある。
いずれにしても、第2期目も、オープンガバメントを力強く推進していくことが期待されている。だが先月の就任演説では、オープンガバメントについては言及がなく、現在に至るまで、新たな政策は打ち出されていない。
しかし、それをもって、ただちにオープンガバメントにオバマ大統領が後ろ向きになったと判断することはできないだろう。例えば最近では、オバマ大統領は、政府の不正密告者に対し大きな保護を与える立法にサインしているし、「We the People」も新たなバージョンの開発を公表している。
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We the peopleの署名の伸び |
ともすれば、オープンガバメントは、単なる「情報公開」と受け取られたり、単にデベロッパーの問題とも捉えられがちである。しかしこれこそ、政治参加の新しい試みであり、「公共」を官民協働で担おうとする、壮大な民主主義の実験なのである。大きな政府の借金と低い政治への関心に見舞われている日本も、この取り組みは大いに参考にすべきではないかと考えている。
オバマ大統領の「民主主義の実験」の行く末を、引き続き注視していきたい。
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